YMF2025レポート
YMF3日目は、招待作品『恋に至る病』の上映と舞台挨拶からスタートです。TikTokで200万回再生の大反響を呼んだ衝撃の恋愛小説を映画化。平凡な大学生が、かつて憧れた西野の“ストーカー監視”を頼まれたことで、彼女の歪んだ愛と深い闇に巻き込まれていくサスペンスラブストーリーです。
舞台挨拶には廣木隆一監督に登壇いただきました。今作のオファーを受けた際の心境やキャストの演技、さらに書き下ろし主題歌の裏話など、思わず作品をもう一度観たくなるトークが満載の時間となりました。また、廣木監督の最新作である湊かなえ原作の実写ドラマ『人間標本』についても触れていただきました。こちらは12月19日よりPrime Videoにて独占配信されます。
続いて、招待作品『宝島』の上映と舞台挨拶が行われました。1950年代アメリカ統治下の沖縄、激動の時代を駆け抜けた若者たちの友情と葛藤を描く壮大な物語です。
舞台挨拶には大友啓史監督に登壇いただきました。アメリカ統治下の沖縄で自由を求め駆け抜けた若者たちの姿を、真藤順丈の直木賞受賞作をもとに圧倒的熱量とスケールで描いた本作について、企画の背景や3時間の長尺に込めた想い、映画祭の魅力について貴重なお話をいただきました。また、新作『10DANCE』についてもコメントをいただきました。本作は12月18日よりNetflix独占配信です。
シアター1の入口前には『宝島』の登場人物の衣装が特別展示されました。キャラクター性を左右する重要な衣装は、色合いはもちろん生地や柄に至るまで細かなこだわりが込められています。
続いて、招待作品『アンジーのBARで逢いましょう』の上映と舞台挨拶が行われました。“お尋ね者”と名乗る白髪の女性アンジーが街に現れBARを開き、彼女の自由で凛とした生き方に触れた人々が次第に自分らしさを取り戻していく。草笛光子演じるアンジーが町の人々に魔法をかけていく、幸せなおとぎ話のような物語です。
舞台挨拶には松本動監督に登壇いただきました。YMFで数々の受賞歴をもつ松本監督の登場に、客席からは「おかえり〜!」という温かな声が飛び交いました。トークでは企画誕生の経緯、キャストについて、さらに個性豊かなキャラクターや印象的なラストシーンの解釈について語ってくださいました。
続いて、『俺ではない炎上』の上映と舞台挨拶が行われました。SNSで女子大生遺体画像を投稿したと誤認され炎上した山縣泰介(阿部寛)。正体不明の追跡者や妻、大学生たちが交錯する中、無実を証明し真犯人を追う。明日は我が身のノンストップ炎上エンターテインメントです。
山田監督は「My First Kiss」でYMF2007グランプリを獲得したYMFゆかりの監督。「山形に来ると故郷に帰ってきたような気持ちになる」と話す監督に、会場からも「おかえりなさい」と拍手が起こりました。阿部寛さん・芦田愛菜さんらキャストの裏話、SNSを扱う上での注意点、「炎上はどんなとき起こるのか」といった切り込んだ話題で会場を沸かせました。また、WOWOW連続ドラマW『シャドウワーク』についてもコメントをいただきました。
YMFの締めくくりは、YMF出身監督によるスペシャルトークショーです。
登壇した3名は、山田監督が監督、松本監督が助監督、菜 葉 菜さんが主演を務めたスカラシップ作品『ハッピーエンド』の制作メンバー。3人が顔を揃えるのはなんと17年ぶり!トークでは撮影当時のエピソードや山形ロケの思い出に加え、今回の招待作品や「活動を続けるうえで大切なこと」についても語ってくださり、終始あたたかなムードに包まれたあっという間のトークショーとなりました。
さて、いよいよ映画祭も大詰め。YMFフィナーレです。
壇上には、行定勲監督、廣木隆一監督、大友啓史監督、山田篤宏監督、松本動監督、YMFアンバサダーの菜 葉 菜さん、結城貴史さんをはじめ、最後まで会場でご覧いただいていた特別顧問の條々淳さん、審査委員の岡崎由紀子さん、古賀俊輔さん、吉村和文運営委員長が登壇しました!映画祭スタッフへのねぎらいの言葉、映画祭が続いていることへの喜び、日本映画の未来への期待が語られました。
YMF2025、お楽しみ頂けましたでしょうか?映画三昧、あっという間の3日間でした。
多くの方々のご協力のもと、たくさんの皆さまにご来場いただき、本年も無事に幕を下ろすことができました。今年は、これまで以上にYMFから広がる“縁”と新たな可能性を感じるイベントとなりました。また皆さまとお会いできる日を楽しみに、ここ山形から生まれる新たな出会いと創造の輪を、これからも大切に広げてまいります。
