思い出をはこぶ歌
監督 村松大翔思 脚本 村松大翔思
声 小音 黒之栖時也 riramu
ナレーション 沼端ひさの
(24分10秒)
歌が、聞こえたんだ。あの夏の、音色が―。
小学校生活最後の夏休み、雪は船に乗っていました。島に住むおばあちゃんが病気なので、お手伝いをしに行くのです。両親は仕事で忙しく、雪はたった一人です。家族や友達と過ごしたいという気持ちから懸命に目を背けながら、雪はただひたすらに、どこまでもどこまでも蒼く澄んだ海を眺めているのでした。
時が流れ、大人になった雪は、島での記憶を失ってしまいます。思い出のかけらを探しに何度も島を訪れますが、そこでの出来事を思い出すことがどうしてもできません。しかし雪には、その思い出が、限りなく温かなものであるように思えてならないのです。
ある日、雪の口から、ある歌がこぼれます。雪の降る中、船の上で―。
村松大翔思 むらまつ たかし
1990年・静岡県生まれ
静岡県在住
高校時代に美術・音楽、大学時代に文学・映像制作を独学で深める。
2010年サクラクレパス みんなの展覧会 大人部門 大賞
2011年鉄鋼スラグ製品と海と森アートコンテスト 最優秀賞
2012年YouTubeにて、監督した自主制作アニメ『ときのしずく』を発表
かつて、幸せを未来に描ける時代がありました。しかし今はもっとシビアで、自分を社会の中で生かし続けなければならず、幸せは結果的についてくるものになりつつあります。
そこで、過去の幸せを確かにあったものとして捉える強かな感性を主人公に与え、その人生を描くことで、現代の生き方について啓発しようと考えました。