老ナルキソス ろうなるきそす
監督 東海林毅 脚本 東海林毅
出演 田村泰二郎 高橋里央 佐野弘樹 蒲生映与
(21分40秒)
溺れ死ぬときを逃し、年老いたナルキッソスの行く末は…。
ゲイでナルシストの老絵本作家・山崎は老いて醜く衰えゆく自分の姿に耐えられないでいた。山崎はある夜、若く美しい男娼のレオに出会う。SMプレイ中に倒れた山崎は老いの苦しみを打ち明けるが、年若いレオには響かない。一方、レオは目の前の変態老人こそが幼年時代に愛読していた絵本の生みの親だと知り、山崎に尊敬の念を抱く。そんなレオの憧れをよそに山崎は、鏡に映る自分の姿を見続けるためさらに自傷的な行動に走ってゆく。苦しむ山崎の姿に亡き父の面影を重ね見たレオは山崎を止めようとする。
東海林毅 しょうじ つよし
1974年・石川県生まれ
東京都在住
武蔵野美術大学在学中から映像作家活動を開始し1995年東京国際レズビアン&ゲイ映画祭コンペ部門にて審査員特別賞を受賞。2018年の同映画祭ではグランプリを受賞した。
現在は演出・VFX担当として幅広く活動中。
セクシャリティや性癖によらず人はみな同じ心を持ち、悩み、愛するという事をより鮮明に伝えるため、この作品では「自己愛に溺れるナルシストかつゲイでマゾヒストの老絵本作家」という社会のどのクラスタからも分断されている人物を通して「老いへの恐怖」や「性への渇望」といった普遍的なテーマを描きました。