来夢来人(らいむらいと)
監督 若葉竜也 脚本 若葉竜也
出演 伊藤竜翼 薬丸翔 新井郁 大友律 長友郁真 新田秀人 栗尾軍馬
（31分29秒）
これは、ただの、ラブストーリー
俳優という夢を諦め、運送のアルバイトとして働いていた健二は、3年間付き合った彼女のハルミと別れ、同棲していた家に残りの荷物を取りに行くことになっていた。復縁を諦めきれない健二はビール2本を手に、希望を抱いて家に向かう。しかし予定よりも早く着いてしまった健二の前に、長身の男、裕二が現れ2人きりになってしまう。確信はないが、おそらく現在の彼氏であろう男と元彼氏の男で繰り広げられる他愛のない会話。テレビからは嘘くさいほど賑やかなバラエティ番組が垂れ流されている。窓は結露していた。飛行機は、けたたましく彼らの上空を通りすぎた。
凡庸な生活の隙間にある、生臭い無間地獄。
これは、ただのラブストーリー。
若葉竜也 わかば りゅうや
1989年・東京都生まれ
東京都在住
1990年 大衆演劇若葉劇団にて1歳3ヶ月で初舞台を踏む。
2016年 映画『葛城事件』で第8回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞
2018年 自身の監督作 映画『蝉時雨』で門真国際映画祭2018最優秀作品賞を受賞
未来や今を美しく夢いっぱいに描く事は自分にはできない。ミニマムな人間関係を近視眼的に描く事で現実を浮き彫りにできたら。
場末の風俗。新装開店のつけ麺屋。万引き。痴漢。借金。陰口。見栄、虚勢。現実という殺風景。
夢じゃ腹は膨れない。「生活」という、生臭い無間地獄。でも全てを捨てるほどの勇気もない。そんな凡人達の、一縷の希望の見つけ方。
