

引かれ者の小唄
監督 栗本慎介 脚本 島村隆
出演 松浦慎一郎 佐藤五郎 林雄大 江村修平
(16分6秒)
立場も境遇も生き方も違う男たちの魂が交差する。
文久元年十月、主人殺しの罪で磔刑となった手代・半次郎は「市中引き回しの刑」に処される。検視役として付き添うのは北町奉行所与力・直江辰之進。馬上で毅然とした態度で小唄を歌う半次郎の本性を見極めようと、辰之進は五ヶ所を引き回す間にひとつずつ願いを聞き入れてやろうと申し出る。半次郎の振る舞いは奇妙なほどに移ろい、やがてそこに引き回しを狙う者たちの影が忍び寄る。
数日後、辰之進は行方不明に―。
弟の同心・信二郎は、牢内の博徒・又八から兄の足取りと半次郎の謎に迫っていく。果たして辰之進は何を守ろうとしたのか―。そして半次郎の小唄に秘めた思いとはー。
長編企画『引かれ者の小唄』の後日譚として作られた短編。


栗本慎介 くりもと しんすけ
1979年・愛知県生まれ
神奈川県在住
東京藝術大学大学院映像研究科在学中に室井滋主演『人の砂漠』、長編映画『cage』などを監督。
卒業後は黒沢清監督をはじめ様々な監督のもとで助監督を務め、
現在は映像制作会社に勤めながら自身の作品の制作を続けている。

情報が溢れる現代、噂が広がり根拠のない誹謗で人が傷つくことも少なくありません。
本作では江戸を舞台に、為政者から押しつけられた役割や仕組みを逆手に取り、“事実”ではなく“真実”を懸けて戦う男たちを描きます。
そこには人が人を思い、弱者が強者に挑み一矢報いる、ほろ苦くも痛快な逆転のドラマがあるのです。


